エルコスの祈り観劇レポ

エルコスの祈りをセシオン杉並で観劇してきました。

初めて四季劇場以外での四季作品の観劇です。全国公演だとかなり大きな舞台でやることも多いと思いますが、セシオン杉並はかなり小さく、座席表によれば、568席なので、最後列でも十分に見ることができます。私はC列で観劇しましたが。
また、杉並での公演のためか、浅利代表も来られていました。

キャスト

エルコス 染谷沙絵子
ストーン博士 岡崎克哉
ジョン 田中宣宗
ダニエラ 丹 靖子
パルタ 丹下博喜
ダーリー 藤川和彦
理事長 高林幸兵
セールスマン 神保幸由

子供にも読めるようキャスト表にはすべて振り仮名があります。

ざくっと感想

この作品は「こころの劇場」の作品です。そのため、とても素直な作品であると感じました。もちろんいろいろ感じましたが、子供たちは絵本を読んでいるときのように、エルコスの心に触れることができるのではないでしょうか。私も最初はいろいろ細かく見ようとしましたが、そんな必要はなく、観劇中は素直に楽しめました。また「ユタ」と同じように作品と直結する歌「語りかけよう」があり、最後はみんなで歌いました。(私も小声ながら、C列なのでキャストの方と目をちらちら合わせながらw、歌いました)

キャストに関して

まずはエルコス役の染谷沙絵子さん。
エルコスを十分に演じられていたと思います。エルコスはロボットだけど心を持っていて、とても難しい役だと思いますが、見ていて違和感などを感じることはありませんでした。ただ少し歌が不安定なのと、終わってみて振り返るとなんだか物足りない気がしないでもないです...何が足りずにこの感覚を得るのか...ここらへんが濱田さんなどとの違いでしょうか。自分なりのちっぽけな頭で考えてみると...おそらくまだ自分なりのエルコスが見えていないのではないのでしょうか。細かい動きなどはしっかりできていたので、あとは本物の個性を出すだけです。今後の活躍に期待です!

つぎにジョンを演じる田中宣宗(たなかよしとき)さん
この人はとてもよかった。母親を大切に思う気持ち、エルコスを信じたいけれど信じられない気持ち、素直になれない気持ち、悪いことをしてしまったと思う気持ち...ジョンのそういったこと複雑な変化を捉えて演技しているように感じました。今後の活動に注目してきたいです。

ダニエラ演じる、丹靖子さん:パルタ演じる、丹下博喜さん:ダーリー演じる、藤川和彦さん
この3人はユートピア学園の悪代官ですw丹下は初見で、丹さんはユタ、藤川さんは南十字星で一度見ています。丹さん...クルミ先生は個性的なキャラを演じられ、完璧でしたが、今回は大きなミスがありました。完全に台詞を忘れてしまったようです。劇場に...という雰囲気が流れてしまいました。それを何とか藤川さんがカバーし、流れを戻しました。さすがティモンです。丹さんは3人で踊るシーンでもタイミングを合わせるために横をちらちら見ていました。単純に稽古不足という感じです。四季はほぼ毎日舞台をこなしているので、仕方ないとは思いますが、これは「こころの劇場」であり、この一回しか見にこられない子供たちもたくさんいるので、単純なミスは避けなければいけません。ダニエラの個性は、クルミ先生同様に、しっかりと捉えられています。丹下さんはかっこいいです。パルタはユタでいうところのゴンゾのような感じで、おらおらーって感じです。藤川さん...最高です。ティモンを演じているだけあって笑いのポイントつかんでいて、子供たちはみんなダーリーにひきつけられていました(私もですが)。藤川さん...ファンになりそうっす。

こどもたち
演技とは全然関係ないのですが、キャッツのランペルティーザをやっているチェウンヘさんが”愛沢えりや”という芸名を付けられていました。今後のランペルティーザは”愛沢えりや”ですw本当に関係ないことですみません。ちなみにこの方以外のランペルを見たことがありません。

最後に(あんまり作品とは関係ありません)

この作品の前半部分、子供たちがユートピア学園に"管理"されている様子は、なんだか笑えないなぁと思ってしまった。学校ではゆとり教育(死語?)だ個性だといろいろ言っているが、実際には、周りの雰囲気は「いい大学に入って、いい会社に入る」以外の選択肢がないようになってしまっている。実際僕も大学院に属しているので、その空気を直に感じている。そこからもれると、みんなは引きつった笑顔で、「人間として失格」のような烙印を押し付けてくる。今まではその空気のなかでがんばっていたが、自分の短い人生を振り返ったとき、何もないことに気が付いた。自分の足元にあるのは、その空気から外れないようにしたせこい心だけ。ダニエラ、パルタ、ダーリーのような大人になるのが目に見えている。そういう大人は自己満足だけを求め生きるようになる。そしてそれに気が付かない。その子供はそれに影響され、ますます、みんながそうなる。今はこう思う、私はそうなりたくない、と。たとえ周りからは「失格」の烙印を押されようとも、自分の足元にある確実なものを見て生きていこう、と。

昨日見た「白洲次郎」のドラマと、「エルコスの祈り」からふとそんなことを考えてしまった。